横浜の魚市場でまぐろを食らう

「港町横浜なんていうけどさ、横浜にはお魚の市場なんてないんだよね〜」
ある日、娘がふとこんなことを言いました。
娘は、港のすぐ脇に市場があり、早朝から競りが行われるような、いわゆる「魚市場」を言っているようです。
なるほど、確かにそういう磯くさい魚市場は横浜にはありませんが、一応あるんです。


「えっ、あーあるみたいだよ。ハハ(母)も実際には行ったことないんだけどさ、横浜駅の割と近くにあるそうだよ」
「へぇ〜、そうなんだ」と娘。
 横浜の魚市場とは、正式には「横浜市中央卸売市場 本場」といいます。
調べてみると、意外にも歴史があり、日本国内で3番目、東日本では初めての中央卸売市場として1931年に開場したそう。
水産物以外にも、青果や鶏肉、鶏卵なども扱っていて、敷地面積9万8,748平方m。ベイエリアのみなとみらい地区に近く、うちからは車で20〜30分ほど。
実はJR横浜駅からも意外に近く、頑張れば歩ける距離。約20分ほど。


市場内には食堂もあるようです。市場の食堂なら、新鮮で安くておいしいにちがいありません!
東京の築地市場の人気の波及効果なのか、こちらの市場も最近、少しずつメディアなどにも登場。
ネットなどをみると、築地に飽きたら、よりディープな横浜市場へ、という流れが生まれてきてるようです。
夏休みもいよいよ終盤戦、残りの宿題を片づけるパワーをチャージすべく市場へ朝ご飯を食べにいこうということになりました。


私「明日の朝、まぐろ食べに行かない?」
娘「まぐろ! いいねぇ。行く、行く、もちろん!」
 娘は、無類のまぐろ好き。焼いたり煮たりした魚なら何でも食べますが、刺身はほぼまぐろしか食べません。
寿司屋でもまぐろ、スーパーの魚売り場でもまぐろ以外は目に入らないほどまぐろにラブラブです。
そんなわけで、「まぐろ」という言葉にしっかり食いつきました。


 8月下旬のとある土曜日、朝6時すぎに起きて、寝ぼけまなこをこすりながら車で市場へ。
近接するおしゃれなみなとみらい地区とはかなり雰囲気が異なり、荷物を運搬するトラックや軽自動車が、やや荒っぽい運転で行き来する殺風景な風景です。
色で言えば、一面グレー。市場界隈の海産物屋や青果店は、まるで昭和の時代から時が止まったような雰囲気です。
私「さぁ、着いたよ」
娘「ここが、市場なの?」
 テレビで見たことがある、地方のひなびた漁港みたいなところをイメージしていた娘は、あまりに巨大な市場に軽いカルチャーショックを受けたようです。
 

この奥に目指すお店が。少し勇気がいります。段ボール箱をかき分けて進みます。


市場の食堂街へ行くと、朝7時30分だというのにだいたいどのお店もオープンしていました。(市場の食堂街なんだからあたりまえか…)
なかでも、鮮魚をウリにしていて一番活気のある「もみじや」さんへ。開店後数分しかたっていないのに、すでに半分以上の席が埋まっています。


外観は意外に普通でホッとする。



夫「おれは、海鮮丼定食かな〜」
娘「まぐろがいっぱいのってるの、よろしくね★」
 お品書きには、あじなめろう丼やうにがのった定食、さばの味噌煮定食など、ひととおりの魚料理がありますが、娘はまぐろ以外見向きもしません。
メニューの写真を見る限りご飯はもりもりで盛ってあるようなので、3人前頼んではとても食べきれそうもありません。
そんなわけで、海鮮丼と刺身定食を1人前ずつと、まぐろラブな娘のためにまぐろの刺身を単品で注文。
待つこと約5分、やってきました海鮮丼と定食にまぐろの刺身。


刺身定食。写真には写ってないが、もちろんごはん、味噌汁付き。850円(税込)



娘「まぐろ、厚いね。いつも食べてるのより、1.5倍くらいあるかな」
 算数で小数を勉強したかいあって、1.5倍なんて微妙な厚みを素早く表現します。
定食についてきた丼ぶりに盛られたご飯は、母子で半分ずつにして早速いただきます。
刺身定食には、まぐろ、たい、ぶり、えんがわの4種類の刺身がのるほか、小鉢が2つとみそ汁付き。これで850円とはかなりお得です。
自宅の近所のスーパーなら、刺身だけでも850円では買えそうもありません。
娘ではありませんが、私までテンションがアップ気味(笑)。
娘用に頼んだまぐろの刺身は、厚い切り身が5切れのって300円也!
私「どう、おいしい?」
娘「うん、おいしいよ。感想は後で言うから、今は食べるのに集中させて!」
私「あ、ごめんごめん」




海鮮丼定食です。9種のネタがのってました。950円(税込)



 夫が頼んだ海鮮丼定食には、まぐろ、かつおしらす、えんがわなど9種類がたっぷりのって950円。これも太っ腹なお値段です。

娘「ママ、ごはん、もっともらっていい?」
私「もちろん、どうぞどうぞ!」
 大好きなまぐろ+おしょうゆ、これ以上ご飯が進む取り合わせはない!
と言わんばかりにせっせとご飯を口に運びます。普段は食が細いあまり、
うちでは「小鳥ちゃん」(小鳥くらいしかものを食べない、的な意味)と呼ばれる娘が、びっくりするくらいご飯を食べています。
毎朝まぐろを出せばこれくらい食が進むんでしょうか…。


 いつもながら無口な夫も、
「おいしい、いいね」とにっこり顔。
前の晩に珍しく私と言い争いをした翌日だったため、朝からむっつり顔でしたが、
やっとうれしそうな顔を見せました(笑)。
おいしいものは心をほぐす、そんな言葉が頭をよぎりました。さすがは、市場めし。
夫婦喧嘩をしたら、市場へゴー! 心にとどめました。

まぐろを食べつくし、満足顔の娘。
私「おいしかった?」
娘「うん、おいしかったよ。私が嫌いな白いところ(トロ)ほどではないけど、ただの赤身よりちょっと濃い味がして、まぐろ食べてる〜、って感じがおいしかった」んだとか。
 これまでは赤身一辺倒だった娘が、赤身より濃厚な中トロに目覚めつつある、ということでしょうか…。ちょっと複雑な思いです。願わくば、これまで通りお安めな赤身ラブでいてほしいものです(笑)。


月2回の開放データは市場内部まで侵入可能!
築地と違って観光客はほぼ皆無






なんでも安いです。クーラーボックスを持ってこなかったことを激しく後悔。
氷は無料でいただけるそうです。



ビジター用に本日の目玉商品の案内板。これで広い市場を効率良く回れます。



 最後に市場内をぐるっと見学。
月2回の一般開放デーのためか、一般客もちらほらいて、子どもには無料でアイスを配布していたりと親しみやすい雰囲気です。
魚介類も市価より2〜3割安いといった印象です。
今回は、「まぐろを食べる!」ことばかりに気をとられていましたが、次回はお買い物モードでやってきたいと思いました。
ごちそうさまです!

【本日のメニュー】
海鮮丼定食…950円
刺身定食A…850円
まぐろの刺身…300円


【データ】
もみじや
住所:横浜市神奈川区山内町1番地 横浜市中央卸売市場 本場内
電話:045−441−2220
営業:7:30〜14:00
定休日: 日曜・祝日
http://www.tumamasa.co.jp/momijiya/

横浜市中央卸売市場 本場の市場開放デーは、毎月第1と第3土曜日の9:00〜11:00ですが、もみじやさんへは開放デー以外も入れます。
JR横浜駅からも頑張れば歩ける距離です。